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仕事のこと

古民家再生で“1割の挑戦”を続ける理由。御杖村プロジェクトに学ぶ、吉武工務店の仕事の面白さ

ワークスペース再生 , 古民家リノベーション , 地域との関わり方 , 地方創生プロジェクト , 木造建築の技術

2026.05.13

なぜ、古民家事業を「1割の挑戦」として続けるのか

吉武工務店にとって古民家事業は、売上の柱というより「会社をおもしろくする1割」の挑戦です。東大阪で培った建築・営繕の技術を、地方の空き家や古民家に応用することで、地域の課題解決にもつながります。
日々の仕事は地元企業や住宅の工事が中心ですが、そこに古民家再生が加わることで、社員にとっても「新しい発想を試せるフィールド」が生まれます。採算だけでは測れない、ブランドづくり・技術研鑽・地域との関係づくり。そのすべてを含んだのが、この「1割の挑戦」です。

御杖村「Yoshitake村御杖」が生まれるまでのストーリー

奈良県御杖村にある「Yoshitake村御杖」は、もともと長く使われていなかった古民家でした。朽ちかけた柱、歪んだ床、暗くて寒い室内。それでも、代表・吉田丈彦は「ここを、みんなが集まれるオレンジ色の空間に変えたい」と構想しました。
オフィスリノベーションで培った「働きやすさ」の視点と、大工として受け継いだ木の扱い方を組み合わせ、企業保養所・モデルハウス・セミナールームとして使える多機能な場に再生。今では、社員研修やイベント、設計打ち合わせの“リアルなショールーム”として活用されています。

ビフォーアフターで見る、古民家再生の面白さ

御杖村プロジェクトの面白さは、「残す」と「変える」のバランスにあります。
・黒く艶のある梁や柱はそのまま見せ、照明計画で存在感を引き出す
・土間や縁側など、古民家ならではの動線は活かしつつ、断熱・サッシで快適性をアップ
・昔の納屋スペースを、セミナールームやワークスペースにコンバージョン
写真で見比べると、同じ建物とは思えないほどの変化ですが、どこか懐かしさは残っている。この「時間を重ねた素材を活かしながら、現代の暮らし方に合わせる設計」が、古民家再生の醍醐味です。

現場で任される役割と、地方出張のリアル

御杖村のような案件では、若手でも早い段階から「任される範囲」が広いのが特徴です。例えば、
・現地調査での寸法取り、劣化状況のチェック
・施主や自治体担当者とのヒアリング同席
・設計担当との打ち合わせ資料づくり、簡単なパース作成
・現場管理のサポート(工程確認・写真管理など)
地方出張では、地元の食堂での食事や、近くの温泉に立ち寄る楽しみも。朝は霧の山あいを車で走り、夜は満天の星空を見上げる。東大阪のオフィスワークだけでは得られない「土地の空気ごと仕事を味わう」経験ができます。

父から受け継いだ技術と「生涯チャレンジャー」の精神

創業者である父の代から、吉武工務店は木造建築と大工仕事で信頼を積み重ねてきました。しかし、事業の転換期には多額の負債や世代間の葛藤もあり、決して順風満帆ではありませんでした。
現代表の吉田丈彦は、その状況をオフィス再生と古民家事業への挑戦で乗り越えてきました。「生涯、チャレンジャー」という言葉どおり、父から受け継いだ技術をベースにしつつ、自らはオフィスリノベーションや古民家再生という新しいフィールドを開拓。その延長線上に、御杖村のようなプロジェクトがあります。

古民家に興味がある人の“予習”とポートフォリオづくり

古民家再生に関わりたい人におすすめの勉強法・ポートフォリオの作り方としては、次のようなものがあります。
・民家の本や古民家カフェを巡り、「好きな空間」を写真とメモでストック
・古材・自然素材、伝統構法に関する入門書で、用語と構造の基礎を押さえる
・Before/Afterのスケッチや、自分なりのプラン案をA3用紙数枚にまとめる
・旅行先や地元の古い建物を、自分目線でレポート化する
大事なのは、完璧な図面よりも「古いものをどう活かしたいのか」という視点が伝わること。その視点こそが、吉武工務店の古民家事業と相性の良い資質と言えます。