借金まみれの二代目が、それでも「生涯チャレンジャー」を名乗る理由
吉武工務店二代目・吉田丈彦は、決して順風満帆な「ボンボン社長」ではありません。引き継いだのは、父の名誉と技術だけでなく、多額の負債と、今にも倒れそうな経営。数字を見るだけで胃が痛くなる日々の中で、それでも会社を畳まず、「生涯、チャレンジャー」という言葉を掲げました。それは「いつか楽になるため」の挑戦ではなく、「今ここで関わってくれている人を、裏切らない」ための挑戦です。お客様、職人、社員、地域。守りたい顔が増えるほど、逃げ道は消え、代わりに覚悟だけが残っていきました。その覚悟を込めた言葉が「生涯チャレンジャー」です。
父とぶつかり続けた20代——それでも大工の背中から離れられなかった話
20代の吉田は、現場で父と何度も激しくぶつかりました。仕事の段取り、職人への声かけ、金銭感覚。価値観の違いが露骨に表れ、口論になるたび、「いっそ別の道へ」と本気で考えたこともあります。それでも現場に出れば、父は一本の梁に妥協せず、細部を整える姿勢だけは一貫していました。「この家で暮らす人の笑顔を想像して刻め」という口癖。反発しながらも、その背中から目を離せなかったことが、今の「心を込めた建築」の原点です。嫌いにもなれない父の仕事ぶりを、結局は誰よりも受け継いだのが、吉田自身でした。
倒産寸前からの方向転換——オフィスリノベと古民家再生に賭けたギリギリの判断
受注減と負債で、本気で「どう畳むか」を考えたタイミングがありました。そこで吉田が選んだのは、縮小ではなく「事業の組み替え」。それまでの下請け中心から、自社の企画力を前面に出したオフィスリノベーションと古民家再生へのシフトです。自社オフィスをまず徹底的にリノベし、「働く場を変えれば、仕事の発想も変わる」を自分たちで実証。その延長線上で、奈良・御杖村の古民家を企業保養所兼モデルハウスとして再生しました。資金的には綱渡りでしたが、「自分たちが心から誇れる実例をつくる」という一点に賭けた決断が、今の黒字基盤をつくる起点になりました。
黒字化までの“泥くさい3ステップ”から見える、吉田の仕事観3カ条
黒字化の道のりは、スマートさとは無縁でした。泥くさく積み重ねた3ステップは、・徹底的な原価と現場の「見える化」・自社施工・自社大工中心の体制への回帰・一件ごとのアフターフォローに時間をかけることこの積み上げから、吉田の仕事観3カ条が見えてきます。1. 「数字」と「手触り感」の両方から仕事を見ること。2. 小さな約束を守り続けることが、最大の営業になること。3.失敗や遠回りを、チームで共有し言語化して次に活かすこと。きれいごとではなく、現場から逆算したリアルな価値観です。
中小企業で社長のそばで伸びる人がやっている「距離の取り方」
中小企業で成長スピードが速い人には共通点があります。それは「社長と近いけれど、依存はしない」距離感を保てることです。具体的には、・決裁前に「こう考えたのですが、どう思いますか?」と自分の案を持っていく・うまくいったことも、失敗したことも、事実ベースで共有する・会社の課題を批評する前に、「自分ができる一歩」をセットで出すこのスタンスの人ほど、吉田は「任せてみよう」と仕事を預けていきます。社長のそばはプレッシャーも大きいですが、その分、判断基準や覚悟のリアルを一番近くで学べるポジションでもあります。
吉武工務店でキャリアを磨きたい人に伝えたい、3つのリアル
吉武工務店のキャリアには、いい面もシビアな面もあります。その両方を、あらかじめ共有しておきたいと吉田は考えています。1. 「仕事の質」を重視するぶん、楽なルーティンワークは少ない。2. 一人ひとりの裁量が大きく、できる人にはどんどん任される。3. 古民家やオフィスリノベなど、新しい挑戦に巻き込まれることが多い。安定だけを求める人には向かないかもしれません。一方、「自分の手で空間とキャリアをつくりたい」「社長の考え方まで学びたい」という人にとっては、経験値の密度が高い環境です。オレンジ色のあたたかい社風の中で、真剣な議論と遊び心の両方を楽しめる人を歓迎しています。
面接で吉田にぶつけてほしい3つの質問と、その質問であなたが試されていること
もし吉武工務店の門を叩くなら、面接ではぜひ次の3つを聞いてみてください。1. 「この会社が、これから10年で必ず成し遂げたいことは何ですか?」2. 「最近の失敗と、そこから会社として何を変えましたか?」3. 「私のような立場の人に、最初の1年で期待する成果は何ですか?」これらの質問は、会社の未来、誠実さ、具体的な期待値を確認するためのものです。同時に、あなたの「視点」が試されています。自分の安心材料だけでなく、「一緒にどんな未来をつくれるか」を本気で考えているかどうか。吉田は、そうした対話を通じてこそ、「生涯チャレンジャー」と並走できる仲間かどうかを感じ取ろうとしています。