籐家具からSWITCHへ。約100年つづく「カナタ製作所」の物語
SWITCHを展開する株式会社カナタ製作所のルーツは、昭和2年(1927年)に大阪・富田林で始まった籐家具づくり。戦闘機の椅子を手がけた時代もあり、「座るもの」を作り続けてきた会社です。昭和43年に法人化し、受注製作の家具メーカーとして成長。
「暮らしをもっと楽しく豊かに変える家具を、自分たちの名前で届けたい」という想いから生まれたのがオリジナルブランドのSWITCH。大量生産とは距離を置き、「自分たちが本当に良いと思うもの」に絞ってつくる姿勢が、現在のブランドの核になっています。
児島デニム×倉敷帆布×無垢材。“沼レベル”の素材へのこだわり
SWITCHの家具を語るうえで外せないのが素材選びです。生地には、経年変化が楽しい児島デニム、味わい深いオイルレザー、タフで美しい倉敷帆布などを採用。
木部にはホワイトオークやウォールナットなどの無垢材を使い、節やひび割れ、色ムラといった「個性」をあえて残したまま仕上げます。カタログ上の整いすぎた美しさより、「使い込むほど味が出る家具」を目指しているため、素材選びは毎回真剣勝負。量より質に、とことん振り切ったものづくりです。
ほぼ全部が自社製造。職人が一つひとつ手づくりする現場
大阪・富田林の工場では、木工、鉄工、縫製、張り加工まで、ほぼすべての工程を自社で完結。外注に出した方が早い仕事もあえて社内で行い、「実直なものづくり」を貫いています。
職人たちはスピードよりも精度と仕上がりを優先し、手間を惜しまず丁寧に製作。図面の段階から社長や専務、現場スタッフが意見を出し合い、「自分たちが欲しいと思えるか」を基準に細部を詰めていきます。完成した家具には、図面だけでは伝わらない手仕事の温度が宿っています。
受注生産だからできる“ちょっと変わった”カスタム例
SWITCHの特徴が最もよく表れるのがカスタムオーダー。受注生産を前提としているため、こんな相談にも対応してきました。
- ソファの座り心地を「右は硬め・左は柔らかめ」に変える
- ワークチェアにキャスターや肘置きを追加する
- お客様の手描きイラストを元にした一点ものの椅子を製作
単なるオプション追加にとどまらず、「その人の暮らしや仕事」に合わせて設計そのものを調整するイメージです。「こんなこと頼んでいいのかな?」という相談がカタチになっていく過程も、SWITCHらしさの一部になっています。
社長と職人のキャラクター。流行より「自分たちの信念」優先
代表の金田圭司をはじめ、経営メンバーの口ぐせは「自分たちが信じられるものをつくろう」。トレンドや売れ筋ランキングより、「これを良いと思ってくれる人と長く付き合いたい」というスタンスです。
現場の雰囲気は、静かな工場というより「黙々+ときどき雑談」。職人同士で加工方法を相談したり、SNS用の写真を撮りながら「この角度が一番カッコいい」などと話したり。真面目さと遊び心が同居する、ちょうどいい温度感のチームです。
SWITCHと相性がいい人・そうでない人の目安
SWITCHと相性がいいのは、例えばこんなタイプです。
- 「効率よりも、納得いく仕上がり」を優先したい人
- 素材や道具にこだわり始めると深掘りしてしまう人
- 作るだけでなく、「どう見せるか」「どう売るか」も考えたい人
逆に、「マニュアルが完全に整った環境で、とにかくスピード重視で働きたい」という人には物足りないかもしれません。組織としてはまだ改善途中の部分も多く、「一緒に整えていく側に回る」ことを楽しめるかどうかが、一つの分かれ目になりそうです。
見学や店舗訪問のときにチェックしてほしいポイント
オンラインショップや直営店、三鷹の「SWITCH MITAKA」を訪れる機会があれば、次のポイントを意識して見てみてください。
- 木部の節やひび割れの扱い方(どこまで残し、どこから補修しているか)
- ソファや椅子の座り心地の違いと、張地ごとの表情
- スタッフが素材や構造の質問にどう答えるか
細部の処理や説明の仕方に、そのブランドの価値観は必ずにじみ出ます。写真だけでは伝わりにくい「SWITCHのリアルな素顔」を、ぜひ現物で確かめてみてください。