流行より「自分たちが本当に作りたいもの」を選ぶ理由
大阪・富田林で1927年に創業した株式会社カナタ製作所は、オリジナル家具ブランド「SWITCH」を展開しています。児島デニムや倉敷帆布、オイルレザー、ホワイトオークやウォールナットなど、素材の個性をあえて残した家具づくりが特徴です。
マネージャー金田直也は、ブランド誕生の背景をこう語ります。「百貨店向けの座椅子に依存していた頃、このままでは先がないと感じました。そこで『自分たちが本当に作りたいものを、イチから考えて売る』ためにSWITCHを立ち上げたんです」。時代のトレンドよりも、自分たちの感性と信念を優先する姿勢は、マーケティングにも一貫して貫かれています。
SNSで「世界観」を伝える──写真一枚に込める視点
知名度はまだ決して高くありません。それでもSWITCHがSNSに力を入れるのは、「自分たちが信じるもの」を丁寧に見せていく場だと位置づけているからです。単に新商品情報を流すのではなく、世界観を伝える「小さな展示会」として設計しています。
撮影で重視しているのは、素材感と暮らしのイメージ。節やひび割れの残るオーク材のテーブルには、あえて陰影が出る光を当てる。オイルレザーのソファは、経年変化を想像できるよう、シワや艶が分かるアングルを選ぶ。背景には本や植物、ラグを組み合わせ、「この家具が部屋にあると、どんな時間が流れるか」を想像できる構図を意識しています。
「写真は、作り手の視点と使い手の視点をつなぐ翻訳」と金田は言います。ものづくりのこだわりを、どう言葉とビジュアルに変換するか。その試行錯誤が、日々の投稿一つひとつに反映されています。
イベント出展は、ブランドの「生の声」を聞く場
SWITCHは展示会やイベントにも積極的に出展しています。そこでは売り込みよりも「対話」を重視します。実際に座ってもらい、座り心地や張り地の感触を確かめてもらう。気に入ったポイントだけでなく、「もう少しこうだったら」という声も丁寧にヒアリングします。
こうしたリアルな反応は、新製品開発やSNS発信のテーマにも反映されます。「イベントは売上よりも、ブランドを一緒に育ててくれるファンに出会う場所」と位置づけているのがSWITCH流です。
「作る」と「伝える」を行き来できるハイブリッド人材とは
カナタ製作所がこれから特に求めているのが、「マーケ×ものづくり」の感覚をあわせ持つ人材です。必ずしも職人経験が必要なわけではありませんが、素材や工程に興味を持ち、自分の目で現場を見に行く姿勢を重視しています。
金田は、理想像をこう語ります。「材料に触れながら、『この質感はこう撮ろう』『この工程のストーリーはこう伝えよう』と考えられる人。作り手の目線でディテールに気づきつつ、ユーザーに届く言葉と見せ方までデザインできる人に来てほしいですね」。
写真撮影、コピーライティング、SNS運用、イベントでの接客──それらをバラバラに担当するのではなく、一連の流れとして考えられることが求められます。
応募前にできる「SWITCH流」実践的トレーニング
マーケティング志望でSWITCHの考え方に共感する人には、応募前に次のような取り組みをおすすめします。
- 公式サイトやSNSを研究し、「SWITCHらしさ」が出ているポイントを自分なりに言語化してみる
- 1つの代表的な製品を選び、自分ならどう紹介するかを踏まえた「簡易LP案」を作ってみる(構成、見出し、写真イメージ、キャッチコピーなど)
- Instagram投稿案を3本考えてみる(1本は素材感、1本はライフスタイル提案、1本は職人や工程紹介など、テーマを分ける)
- 気になる家具を1つ決め、実際の使用シーンを想像した「イベントブースのミニ企画案」を書いてみる
これらはすべて、「作り手の思い」と「使い手に届く表現」をつなぐ練習です。ものづくりに敬意を払いながら、自分なりの伝え方を考えてみる。その積み重ねが、SWITCHのようなブランドを一緒に育てていく力につながっていきます。