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仕事のこと

家具職人の一日密着レポート│カナタ製作所で働くリアルな仕事の流れ

クラフトマンシップ , ソファ製造 , 受注生産 , 家具づくり , 木工職人

2026.03.04

朝8時、富田林の工場に灯りがともる

大阪府富田林市。創業からまもなく100年を迎えるカナタ製作所の工場では、午前8時前には職人たちが集まり始めます。朝礼で当日の段取りや進捗を共有したあと、各担当ごとに作業場へ散っていきます。

カナタ製作所のオリジナルブランド「SWITCH」の家具は、ほぼすべての工程を自社で完結。木工、張り、検品・梱包まで、流れ作業ではなく職人同士が声を掛け合いながら進みます。スピードよりも「実直なものづくり」を優先する空気が、朝から工場全体に漂っています。

午前:木と向き合う木工工程

製作の起点となるのが木工工程です。倉庫にはホワイトオーク材やウォールナット材など、表情豊かな木材が並びます。カナタ製作所では、節やひび割れも「欠点」ではなく「個性」として活かす方針。木取りの段階から、どの表情をどこに使うかをイメージしながら加工を進めます。

図面を確認し、丸ノコやルーターでパーツを切り出し、カンナやサンダーで面を整える。フレームを組む前には、微妙なガタつきがないかを何度も確認します。「多少時間がかかっても、長く使えるかどうかが基準」と話すのはベテラン職人。家具として組み上がったときの強度やバランスを想像しながら、一つひとつ寸法を追い込んでいきます。

午後前半:生地とクッションで“座り心地”をつくる

昼休憩の後は、ソファや椅子の「座り心地」を決める張りの工程へ。工場の一角には、児島デニム、オイルレザー、倉敷帆布など、こだわりの生地が整然と並んでいます。注文内容を確認しながら、裁断、縫製、ウレタンやフェザーの組み合わせを決定します。

特徴的なのは、受注生産ならではの細かなカスタムに対応している点です。たとえば「ご夫婦で座る位置が決まっているので、向かって右側は硬め、左側は柔らかめに」といったオーダーも実際にあります。同じモデル名のソファでも、中身の構成が一台ごとに違うことも珍しくありません。

未経験で入社した若手職人も、この工程から仕事を覚えるケースが多く、最初は縫製補助やタッカー打ちといったシンプルな作業からスタート。ベテランが横で細かく手順を見せながら、徐々に一人で張り上げを任せていきます。

午後後半:仕上げ・検品と「最後のひと手間」

夕方に向かう時間帯になると、組み上がった家具の最終仕上げと検品の工程へと移ります。木部のオイル塗装は、布で拭き込みながら木目の表情を引き出していく繊細な作業です。塗りムラがないか、手触りに違和感がないか、光の当たり方を変えながら入念にチェックします。

同時に、ガタつきや座り心地、縫い目のヨレ、糸のほつれなども全点検。「お客様の家に届いた瞬間の表情」を思い浮かべながら、気になる箇所があれば迷わず手直しを入れます。効率だけを求めれば見過ごせるような細部に、最後まで手をかける。この「最後のひと手間」に、カナタ製作所らしさが表れています。

未経験からでも職人を目指せる理由

カナタ製作所の職人仕事は、伝統工芸のように特殊な資格や長年の修行がないと入れない世界ではありません。もちろん簡単ではありませんが、工程ごとに段階的に習得できるため、「ものづくりが好き」「家具が好き」という気持ちがあればスタートラインに立てます。

木工・張り・検品など、それぞれの現場には経験豊富な先輩がいて、作業の意図や考え方まで含めて共有する文化があります。単に手を動かすだけでなく、「なぜこの構造にするのか」「なぜこの素材を選ぶのか」を理解しながら経験を積めるため、数年後には自分なりのこだわりを持った職人へと成長していく人も多いのが特徴です。

トレンドより、「自分たちが信じるもの」を作る現場

カナタ製作所の仕事を貫くのは、「時代の流れに迎合して数を売る」のではなく、「自分たちが本当に良いと思える家具を実直に作る」という姿勢です。社内に専任デザイナーはおらず、社長や専務、現場の声から「こんなものを作りたい」という発想が生まれ、試作と改良を重ねて製品になります。

すぐに大ヒットするような商品ばかりではありませんが、丁寧に作り続けた結果、「大量生産品では満足できない人」が自然とSWITCHに辿り着きます。一つのソファや椅子の向こう側に、お客様の暮らしや時間を思い描きながら手を動かす。その繰り返しが、100年近く続く家具メーカーの日常です。